年末調整の手順

①年末調整対象者の選定

会社に対して「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」事前に提出している人全員に対して行うのが原則です。


②諸控除額の確認(諸控除額の確認のために提出してもらう書類)

1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
控除対象配偶者や扶養親族の状況、障害者等の状況を記載する書類
人的な所得控除(配偶者控除・扶養控除・障害者控除・寡婦(寡夫)控除・勤労学生控除)の金額を算定する際に使用します。
原則としてその年の最初の給与を支払うときまで(中途入社の人は、入社後最初の給与の支払を受けるまで)に提出してもらうことになっています。異動があった場合、その都度提出してもらいます。

年の途中で以下のような事情があった場合には、異動申告が行われているか注意する必要があります。
・控除対象扶養親族であった人の就職・結婚などにより、控除対象扶養親族の数が減少した場合
・結婚し、控除対象配偶者を有することとなった場合
・本人が障害者、寡婦、寡夫または勤労学生に該当することとなった場合
・控除対象配偶者や扶養親族が障害者に該当するようになった場合
控除対象配偶者や扶養親族、障害者などに該当するかどうかの判定は、年末調整を行う日の現況により行います。

なお、未提出の人や異動の申告がない人がいる場合は、年末調整を行うときまでにこの書類を提出してもらえば、これに基づいて年末調整を行うことができます。
年末調整を行ったあと、12月31日までに控除対象扶養親族の増加などの異動があった場合には、年末調整をやり直すことができます。

2)給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書
保険料控除と配偶者控除の2つの内容を記載する申告書
控除の対象となる人のみ提出してもらう必要がある書類です。
・保険料控除申告書

生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除または小規模企業共済等掛金控除の金額を算定するため、支払った金額を記載してもらいます。
また、生命保険料控除および地震保険料控除を適用するには「保険料控除証明書」(一般の生命保険料で年間保険料9,000円以下は不要)の添付が必要となります。
社会保険料控除の国民年金と小規模企業共済等掛金控除を適用するには、保険料等の領収書や証明書等の添付がそれぞれ必要となります。
・配偶者特別控除申告書

配偶者特別控除の金額を算定するため、配偶者の合計所得金額を記載してもらいます。

3)(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
一定の要件を満たす住宅の取得や増改築等のために金融機関等で借入をし、住宅借入金等特別控除を受ける人が提出する書類
住宅借入金等特別控除は、住宅の取得等をした年分の控除については確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整により控除することが可能です。
年末調整で控除を受けるには、税務署から交付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と金融機関から交付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」を添付の上、本申告書を提出してもらいます。


③本年分の給与の金額と源泉徴収税額の集計

 「平成23年分給与所得に対する所得税源泉徴収簿」(以下「源泉徴収簿」)に給与の支給を受けている各人ごとに毎月の給与および賞与の支給額、給与から控除された社会保険料等の額および源泉徴収税額を集計します。
また、中途入社の人でで前職の給与がある人は、前職分の給与を把握する必要がありますので、前の会社から交付される「給与所得の源泉徴収票」を提出してもらい、前職の源泉徴収票に基づいてそれぞれ前職分の金額も集計します。

1)総支給金額の集計
ここでは通勤費等の所得税の非課税項目は除いた金額を集計した金額のことを言います。
また、本年中に支給日が到来して支払いの確定した給与は、未払いとなっている場合でも本年の年末調整の対象となります。そのため、未払給与と未徴収の税額については、集計に含みます。
逆に、前年分の未払い給与で、本年に繰り越して支払った給与やその給与からの徴収税額は、すでに前年の年末調整の対象とされているので、集計に含めません。

2)給与から控除される社会保険料等の集計
各月ごとに給与から天引きされた健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料が対象となるだけでなく、給与から天引きがされている小規模企業共済等掛金が天引きされている場合には、この金額も含まれています。

3)各月ごとに給与から天引きされた所得税を集計


④課税給与所得金額の計算

 「平成23年度分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に当てはめて、給与等の金額に対応する「給与所得控除後の給与等の金額」の金額を求めます。

次に「課税給与所得金額」の計算を行います。この計算は「給与所得控除後の給与等の金額」から各種所得控除後の合計額を控除して計算します。


⑤年調年税額の計算

 「平成23年度分の年末調整のための所得税の速算表」を使用し、「算出年税額」を求めます。(1,000円未満の端数は切捨て)

「算出年税額」から「住宅借入金等特別控除額」を控除して「年調年税額」を算出します。(100円未満の端数は切捨て)
(年末調整等で適用できる税額控除は、住宅借入金等特別控除のみです。住宅借入金等特別控除の適用を受けない人については、算出年税額が年調年税額となります。)

平成23年度分の年末調整のための所得税額の速算表

 

課税給与所得金額(A)

税率(B)

控除額(C)

税額=(A)×(B)(C)

             195万円以下

5

0

(A)×5

195万円超      330万円以下

10

97,500

(A)×10%-97,500

330万円超      695万円以下

20

427,500

(A)×20%-427,500

695万円超      900万円以下

23

636,000

(A)×23%-636,000

900万円超     1,692万円以下

33

1,536,000

(A)×33%-1,536,000

 

 


 ⑥過不足税額の計算と精算

 最後に計算した年調税額と源泉徴収簿に集計した源泉徴収税額との精算作業で年末調整は完了します。


年調年税額<源泉徴収税額=過納額を給与所得者に還付
年調年税額>源泉徴収税額=その不足額を給与所得者から徴収

村田社会保険労務士事務所

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