給与計算マニュアル

①社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)について

各被保険者の標準報酬月額に保険料をかけて算出した金額が毎月の保険料になり、事業主と被保険者が負担します。
保険料については、健康保険・厚生年金保険料ともに毎年新料率を適用します。

標準報酬月額×各保険料率÷事業主と被保険者で折半

健康保険(協会けんぽ)
変更時期…毎年3月分保険料より~
料率…都道府県単位保険料率を使用
※健康保険組合の保険料率は、組合ごとに30~120/1000の範囲で組合会の議決で定めますが、一般保険料率の被保険者負担分は料率の半分をこえません。

40歳以上65歳未満は介護保険料を負担
40歳以上65歳未満の健康保険加入者は、介護保険の第2号被保険者です。
第2号被保険者に該当する健康保険の被保険者(40歳誕生日の前日の月から)は、健康保険の一般保険料に上乗せして介護保険料を上乗せします。


厚生年金保険

変更時期…毎年9月分保険料より~
料率…毎年0.354%ずつ引き上げられ、H29年9月には18.3%で固定されます。

※資格取得・喪失月の保険料
毎月の保険料は月単位で計算されます。月の途中で被保険者資格の取得/喪失があっても、日割計算ということはありません。
被保険者資格を取得した月は、加入期間が1日でも、1ヶ月分の保険料を納めます。
被保険者資格を喪失した月(退職または死亡した日の翌日が属する月、後期高齢者医療の被保険者になった月)は保険料を納める必要はありません。
例:3/31日退職→4/1喪失 3月分の保険料はかかるが、4月分の保険料はいらない。
但し、同じ月に被保険者の資格を取得/喪失した場合は、その月は保険料を納めます。=同月得喪

※翌月控除・当月控除について
健康保険と厚生年金保険料は、一般的には翌月控除、または当月控除という方法が用いられています。

例:8月末日まで在籍→9月1日喪失=8月分の保険料が発生→8月中の支給給与で控除…当月控除
                             9月中の支給給与で控除…翌月控除

 

②雇用保険について

各雇用保険被保険者の賃金の総支給額×保険料率にて算出します。
※但し保険料の対象とならない賃金もあります。

変更時期…毎年4/1に変更~
※賃金計算期間を以って料率の変更処理をすること

例:賃金計算期間 3/1~3/31 支給日翌月25日 →雇用保険料率が変わるのは翌月4/1~4/30の賃金計算期間より変更。よって5月支給給与にて変更となります。

※雇用保険料計算における注意点
健康保険や厚生年金保険は日割概念がなく、末日在籍時点(※同月得喪を除く)で保険料がかかってくるか判断するのに対し、雇用保険は賃金及び賞与を支払う度に支給額に応じて保険料がかかります。
よって健康保険や厚生年金保険と違い、変動する手当等によって毎月の保険料額に変更が生じます。
また、労働保険年度初日(4月1日)において、雇用保険に加入している満64歳以上の高年齢者については雇用保険料を徴収致しません。

 

 

被保険者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が出ないように、毎年1回、標準報酬月額が決めなおされます。
定時決定にあたり、4月・5月・6月に支払った報酬(平均月額)で決定、「被保険者報酬月額算定基礎届」に記入し、7月1日~7月10日(又は指定された提出日)に提出します。 詳細はこちら

○従業員の入退社、資格取得・喪失、昇降給、従業員情報の異動など、従業員情報の変更があれば随時更新します。(給与計算前に確認を行います)
○保険料率や税率などの制度設定の変更があれば設定を変更します。

①勤怠情報の集計、計上
出勤日数・総労働時間・時間外労働時間・休日労働時間・深夜労働時間・有給休暇
欠勤日数・遅刻時間・早退時間・私用外出時間

②支給項目の計上
固定給…毎月定額が支給される月次給与
基本給、役職手当、通勤手当など

変動給…毎月の変更が生じる月次給与
時間外手当、皆勤手当、休日手当、深夜手当、勤怠控除など

③控除項目の計上
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税
※社会保険料、所得税、住民税以外の金額を賃金から控除する場合は、労使協定が必要となります。


④給与明細書の交付、賃金台帳の作成、給与一覧表の作成

(その他、会社の処理としては預かり金の処理対応があります)

初回設定について
事業所の給与体系の設定、従業員情報の設定、社会保険についての確認を行います。


①事業所の賃金の仕組み

●賃金規定から賃金体系を確認…月次給与(完全月給・日給月給・日給・時給)/賞与
→賃金項目の設定
→控除項目の設定…社会保険料、所得税、住民税以外に控除する項目がある場合は労働協約・労使協定を確認します。
●賃金の締め日・支払日
●賃金の支払方法
●法令に反していないか…基本原則・賃金支払いの5原則・最低賃金

②従業員情報の設定
●給与所得者の扶養控除等(異動)申告書…所得税計算のために必要となります。
・控除対象配偶者の有無
・扶養親族の有無
・本人、控除対象配偶者、扶養親族についての障害者・特別障害者の有無
・本人の特例事項の有無(寡婦・寡夫控除や勤労学生控除など)
●雇用契約書(労働条件通知書)
氏名、契約期間、更新の有無、就業の場所、従事すべき業務の内容
始業・就業・休憩時間・所定労働時間所定労働時間外の有無に関する事項
休日、休暇、賃金、退職に関する事項等を確認します。
●労働者名簿
住所、生年月日、性別、入社年月日、賃金区分
保険加入について、基礎年金番号、雇用保険被保険者番号、職歴等を確認します。

③社会保険についての確認
●健康保険…事業所の加入する健康保険組合によって料率が異なります。
●厚生年金保険…事業所の加入する健康保険組合によって料率が異なります。
●雇用保険
●労災保険

所得税では、申告納税が原則となっており、個人で事業を営む自営業者は毎年1月1日~12月31日までの1年間に得た所得を自分で計算して、その年の翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納税することになっています。しかし、会社から支給される給与収入のみのいわゆるサラリーマン(給与所得者)全てに、各自で確定申告してもらうのは、事務手続きの作業が膨大なものになってしまいます。そこで、給与所得者の代わりに会社が行うのが年末調整です。(通常毎年12月の年末に行われるので「年末調整」と呼ばれます) 詳細はこちら

給与所得者の扶養年末調整で控除できる所得控除は11種類あります。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書で確認する所得控除は計6種類です。 詳細はこちら

村田社会保険労務士事務所

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